教職課程コアカリキュラムの目的と社会的意義

 昨年11月の教育職員免許法の改正、今後予定されている同施行規則の改正を受け、平成31年度入学生から改正免許法等に基づく教員養成が行われることになる。その中核は、教職課程におけるコアカリキュラムの導入である。教職課程コアカリキュラムは、免許法等で定められた教職科目のうち、現在の「教職に関する科目」の各科目について、学生が修得すべき資質能力を共通的に示し、そこに至るために必要な学習内容や到達基準を構造的に示すものである。

 高等教育における人材育成では、課題探求力の育成を基本に据えた社会を生き抜く力の育成が求められている。その上で、教員のような専門職養成を行う学部・学科においては、その時々でそれぞれの専門職に求められる資質能力を見極め、資質能力を身に付けるために必要な科目の開設が求められ、教職課程のカリキュラムの工夫・改善が重要な課題となっている。教職課程コアカリキュラムは、各大学が教職課程を編成する際に参考とする指針として策定するものである。

 コアカリキュラム作成の目的は、全国すべての大学の教職課程で共通的に修得すべき資質能力を示すことである。大学は、教員養成に求められる共通の内容、水準を確保しつつ大学独自の創意工夫を加えるなど、特色ある教員養成を一段と進めることが可能になる。

 大学には、開設科目においてどの資質能力を身に付けるかを明示するなど、コアカリキュラムで体系的に身に付ける教員として必要な資質能力を教職課程全体で担保するためのカリキュラムマネジメントが求められる。教員については、当該科目に求められる内容、水準が明確になり、授業はもとより授業の方法について、アクティブ・ラーニングに積極的に取り組むなど授業をより充実しやすくなるなどのメリットもある。

 コアカリキュラムは、教職課程の質を維持、向上することを通して、より高度な専門職養成を行うための具体的な方策である。高度専門職である教員に最小限必要とされる資質能力を身に付けるため、各大学には、コアカリキュラムを踏まえた教職課程を編成し、そこでの学修と適切な評価を通じて、教員を目指す学生の質の維持、向上に努めることが求められる。

 このような取組は、育成すべき資質能力について客観的な基準を明らかにすることを通して、広く社会に教員養成の現状についての理解を進め、その在り方や方向性について、より建設的な議論を可能にするものといえる。(S)

2017年08月08日