専修免許状を取得しやすくする提案に関連して

 平成27年の中教審答申「今後の学校教育における教員の資質能力の向上について」では、免許更新講習の受講や大学が提供する履修証明プログラム等の学びを積み上げて専修免許状を取得できるような仕組みを構築することが提言されている。
 一種免許状を持つ現職教員が3年間良好な成績で勤務した後、関連科目を大学で15単位分修得すれば専修免許状が取得できる仕組みを利用するものだ(免許法第6条別表第3)。

 いくつかの教職大学院では、教育委員会との連携のもと、管理職候補者を対象に「学校管理職養成コース」「学校改革マネジメントコース」を開設するなど、これまでの研修実績が目に見える形で表れていることから、その成果を、多様な研修形態で還元しようという狙いもあるだろう(一方で「切り売り」だと大学にとってあまりメリットがないことも指摘されている)。

 他方、大学院等で専修免許状を取得する場合、認定課程において「教科又は教職に関する科目」を24単位分修得することとされている。
 このことに関連して、以前、文部科学省に置かれた「教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議」の「教職課程の質の保証等に関するワーキンググループ(第1回)」で、端的に現在の課題を示す資料が配布されたことを思い出し、文科省HPを当たってみた。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/093/093_1/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2012/10/19/1326972_6.pdf

 高校数学の専修免許状を取得する課程とはいえ、高校での学習とはかけ離れた科目が並ぶ。
 また、この修士課程学位プログラムにおいて、教職課程(教職科目)がそこにどう位置づいているか(この修士課程でどのような教員を養成するのか)が見えてこないように思う。
 都道府県教育委員会等の採用権者が、採用選考時において、専修免許状そのものに対しインセンティブを付与しづらいのも、こうした状況に即したものといえるかもしれない。

 専修免許状の教職課程を学校教育に関連づけていくことはもちろんだが、専修免許状取得の過程で何を学んだかを示す仕組みも同時に必要であり、そのことを評価する柔軟な対応も検討する必要があろう(現行制度では、特定の分野に関する単位を12単位以上修得した場合に分野の記入が可能)。(S)

2017年06月10日