グローバル時代のホールスクールマネジメント

本図 愛実 編著
貞広 斎子・山下 絢・米原 あき・倉光 恭三・丸山 千佳子・加藤 聖一・笹村 恵司 著
A5判230ページ 定価:本体2,300円+税
ISBN978-4-909124-50-0 C3037

グローバルスタンダードに近接した新しい学校マネジメントを提唱、考察
2003年、2006年の日本のPISA調査結果は学力低下論を惹起した。それらへの対応として、学習指導要領の一部改訂(2003年)、学校教育法改正(2007年)による学力観の法制化、全国学力学習状況調査が行われることになった。グローバル世界の直中に我々がいることを実感させられる、極めて大きな変容であった。
グローバル世界におけるスタンダードは、その強さと深さより一層の注意が必要である。グローバル世界で語られる規範は、曖昧でいかようにも解釈可能である。しかしながら、ある目的のために意図的な解釈と利用が可能であっても、世界に通じていることを軽視はできない。注視し、理解し、多くの人々による協働的で自律的な展開において、参照事項とし、超克していくべきである。すなわち、グローバルスタンダードへの近接と自律が求められている。
本書は、学校に焦点を当て、グローバルスタンダードを参照事項として扱えるような、自律的な学校のマネジメントについて探る。その際、鍵となるのは、全員参画と協働、そしてそれらを可能にする教職員のエンパワメント(力量と意欲)である。本書では、こうした要素を取り入れた学校づくりを、ホールスクール(whole school)マネジメントと題して提案する。

●第I部 グローバルスタンダードへの近接として、その強さの源であるエビデンスについて考える。
●第II部 グローバルスタンダードからの自律を射程におく、学校のマネジメントについて考える。
子どもの資質能力の育成という教育の核がグローバルスタンダードの中にある今、教職員全員が学校づくりに関わるという、当たり前であり、しかし実現困難であった学校教育の原点に立ち返りたい。

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◎正誤表

目 次

序章 ホールスクールマネジメントにより挑む……本図 愛実
1.グローバルスタンダードの強さ
2.ホールスクールマネジメントの可能性

第1部 公教育におけるエビデンス重視の生成
第1章 教育政策におけるエビデンス……貞広 斎子
1.なぜ今「エビデンス」なのか ―透明性と成果の確保―
2.エビデンスとは何か
3.エビデンスと教育政策のこれまで
4.エビデンスに如何に向き合えば良いのか ―知のマネジメント―
第2章 少人数学級の効果に関するエビデンス ―米国における研究の方法と論点―……山下 絢
1.少人数学級をめぐる効果検証の必要性の高まり
2.効果測定はどのような方法によって行われているのか
3.実証研究から何が明らかにされているのか
4.多額の予算を必要とする問題にどのように対応するか
第3章 協働型プログラム評価の可能性……米原 あき
1.はじめに ―「評価」とは―
2.アメリカにおけるプログラム評価の生成
3.プログラム評価とは
4.様々な活用事例
5.学校教育分野への応用可能性と課題 ―結びにかえて―
第4章 学校の「効果」に関する問いの変容……本図 愛実
1.学校の「効果」とは何か ―コールマンレポート―
2.効果的な学校とは
3.効果の計量から、効果の高い学校づくりへ
4.効果の高い教師への着目
5.連邦政府による効果の測定
6.おわりに

第2部 ホールスクールマネジメント
第5章 エビデンスを活用した高等学校経営 ―新たな経営管理手法導入の可能性―……倉光 恭三
1.はじめに
2.戦略的な学校経営
3.A工業高等学校での実践
4.B高等学校での実践
5.C中学校・高等学校(併設型中高一貫教育校)での実践
6.おわりに
第6章 教職員の資質向上を図る小学校経営マネジメント……丸山 千佳子
1.はじめに
2.実践校について
3.学校全体が一丸となるための目標の精選
4.教職員のやる気を引き出す手立て
5.全校体制で進める学力向上の取り組み
6.おわりに
第7章 グローバル時代の私立学校経営 ―国際バカロレア認定校の組織マネジメント―……加藤 聖一
1.はじめに
2.IB教育とは
3.仙台育英学園とIB
4.IBの導入と組織マネジメント
5.組織マネジメントの成果
6.おわりに
第8章 判例から考える危機回避……笹村 恵司
1.はじめに
2.判例の検討
 Ⅰ 給食指導によるPTSDの発症
 Ⅱ 年度途中における担任外し
 Ⅲ 体育館の天井からの転落事故
3.おわりに
第9章 協働型プログラム評価を用いたESDスクール・マネジメントの実践……米原 あき
1.はじめに
2.ニーズ評価とセオリー評価 ―「ESDロジックモデル」の形成―
3.プロセス評価とアウトカム評価 ―取り組みの可視化―
4.改善に向けてのアクション ―情報の発信と連携―
5.おわりに

終章 ホールスクールマネジメントの可能性……本図 愛実


執筆者一覧
(所属/執筆担当、執筆順)
本図 愛実 (宮城教育大学教職大学院 教授/はじめに・序章・第4章・終章)
貞広 斎子 (千葉大学教育学部 教授/第1章)
山下 絢  (日本女子大学人間社会学部教育学科 准教授/第2章)
米原 あき (東洋大学社会学部社会学科 教授/第3章・第9章)
倉光 恭三 (特定行政書士倉光法務事務所 代表、公益社団法人日本フィランソロピー協会 理事/第5章)
丸山 千佳子(宮城教育大学教職大学院 特任教授/第6章)
加藤 聖一 (学校法人仙台育英学園 常務理事 兼 秀光中学校・仙台育英学園高等学校 校長室長(IBディレクター、学園情報化責任者)/第7章)
笹村 恵司 (齊藤・笹村法律事務所 弁護士/第8章)

※所属・職名は2021年7月現在