片山 紀子・太田 肇・森口 光輔 著
四六判192ページ 定価:本体1,600円+税
ISBN978-4-909124-52-6 C3037
学校の先生方が楽しく仕事をすることができるようにするために、職員室の居心地をよくすることに焦点を当てています。具体的には、教職員同士がお互いのがんばりを「認め合う」ような職場になれば、個々の教職員の「承認欲求」が満たされ、充実感をもって仕事をすることができるとともに、新しいことにもチャレンジできるような雰囲気が醸成されると考えています。そこで本書では、学校だけの視点から職員室を考えるのではなく、異分野との融合から改善のヒントを得ることをめざしています。
小学校教頭の森口氏は教員の立場から学校の実態を(第1章)、組織論が専門の太田氏は「認める」ことの効果を(第4・第5・第6章)、教育学に立脚する片山氏は学校現場への問題提起や期待される取り組みを(第3・第7・第8章)述べています。また、第2章では、三者のざっくばらんな意見交換からヒントを得たいと考え、鼎談を収録しています。
職員室のあり方や同僚とのかかわり方、教職員としての仕事の進め方やリーダーシップを考える際に大切な示唆を与えてくれる一冊。
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目 次
第1章 認め合い支え合うことが困難な教師の日常……森口 光輔
あわただしい朝の時間/授業は複雑化、研究授業の負担も大きい/授業の空き時間でもなかなか自分の仕事ができない/給食時も気が抜けない/放課後は保護者対応で神経がすり減る/部活指導のスタンスは二極化が進む/外からの連絡を誰が担当するかで不満が出ることも/減らない会議と膨大な事務作業/帰宅できない職員室文化と勤務時間内に終わらない仕事/「早く帰れるはずがない」と思うから早く帰れない/激務なのに「認められ感」のない管理職
第2章 鼎談 教員同士が認め合える職員室とは……片山 紀子・太田 肇・森口 光輔
学校はもう少し「効率性」を考えるべきではないか/教員同士で認め合う機会をどうつくるか/風通しがよく、誰もが発言できる職員室が理想/経験や年齢に配慮しつつも「ビジネスライク」を心がける/クレームへの対応で承認し合うことの素地をつくる/行動したことを認めることから始めてみよう
第3章 職員室の何が問題なのか……片山 紀子
あなたの職員室はどのフェーズ?/認められずに疲れる先生たち/チーム学校を適用しづらい「自営型」の職場/学級担任に仕事と責任が集中しすぎて「承認」どころではない/部活指導で疲弊するのは本末転倒/困難な状況から立ち直ることが難しい/正当に評価されずいじめに駆られる教員/お互いに干渉せず、相談もしづらい人間関係/新しい考えや多様な意見が認められづらい
第4章 認めることはなぜ大切か……太田 肇
実は強力な承認欲求/成功のシンボルとしての昇進/嫉妬や意地も承認欲求のあらわれ/サービス職としての教師、専門職としての教師
第5章 承認の光と影……太田 肇
モチベーション=自己効力感を高め、成長を促す/離職を抑制する/メンタルヘルスを向上させる/組織のパフォーマンスを高める/アンダーマイニング効果/承認欲求の呪縛
第6章 上手な認め方……太田 肇
第三者に認められるよう支援する/「ハレの舞台」を用意する/相互承認を取り入れる/効果的な認め方/どこを認めるか/認めるタイミング/成熟段階に応じた認め方/タイプ別の認め方/承認のツール/表彰制度
第7章 教師の「働き方」と「承認」……片山 紀子
分業化の理論を生かして得意な力を発揮する/自ら時間をコントロールする/「承認」は誰から始めてもよい/多様性を尊重し、違いを楽しむ/理想の職員室は「フェーズ0」/「承認」のある職場では不祥事も減る/分散型リーダーシップで「承認」の機会をつくる/同僚の力を借りる/解決志向の承認を心がける/「人は変わる」ことを期待する
第8章 「承認」を取り入れるためのヒント……片山 紀子
仕事を精選してとにかく早く帰宅する/生徒指導の仕事は整理して減らす/部活指導は別の体制を整える/別のコミュニティに身を置いてみる/長期研修制度に応募する
執筆者
片山 紀子(かたやま のりこ)
奈良女子大学大学院人間文化研究科比較文化学専攻博士後期課程修了 博士(文学)。現在、京都教育大学大学院連合教職実践研究科教授
太田 肇(おおた はじめ)
神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了 京都大学博士(経済学)。現在、同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授
森口 光輔(もりぐち こうすけ)
京都教育大学大学院連合教職実践研究科学校経営力高度化コース修了 教職修士(専門職)。現在、公立小学校教頭