片山 紀子・若松 俊介 著
四六判 246ページ 定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-909124-30-2 C3037
“主体的・対話的で深い学び”を実現するため、多くの授業で「話し合い」が取り入れられています。一方で、せっかく授業に取り入れた話し合いが活発にならない、特定の子どもしか発言しない、結局自分(先生)ばかりしゃべってしまう、といった悩みを抱えている先生が少なくありません。話し合いを通じた学習がうまくいくためには、子どもたち一人ひとりが「自分が主役だ」と思うことが大切です。
本書は、子どもを信頼して、子どもを主役にするため、教師に求められるファシリテーターとしてのスタンス(哲学)と、それを実現するための技術を学びます。1〜4章ではファシリテートの基本やファシリテーターの心得を、5〜8章では実際に教室でどのようにファシリテートするのかを取り上げます。
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目 次
1章 ファシリテートの基本
1 教師に求められるファシリテート力
⑴ 深い学びに求められるのは、話し合ったり発表したりした、その先/⑵ 経験にだけ頼っていてもうまくいかない
2 ファシリテーターに必要な覚悟
⑴ ファシリテートするのは不安?/⑵ スタンスを整える
3 ファシリテートするための強い信念
4 ファシリテーターの役割
⑴ 解を見つけるのを手伝う/⑵ 考えることを促す/⑶ ワクワク感と感動を教室にもたらす
5 授業のフェーズで見る教師のファシリテート力
6 ファシリテートで子どもの認知を修正・拡大
7 クリアエンド型のファシリテート
⑴ 明確な答えを導くクリアエンド型/⑵ クリアエンド型の収束のさせ方/⑶ クリアエンド型はここに気をつける
8 オープンエンド型のファシリテート
9 子どもがファシリテートできるようになれば最高
2章 ファシリテーターの心得
1 表情を意識
⑴ 表情が怖いのはNG/⑵ ほんわかした笑顔で
2 穏やかであることを意識
⑴ 穏やかにどっしりと/⑵ 言葉も穏やかに
3 人間関係を意識
⑴ ファシリテーターとメンバーとの関係/⑵ 集団を扱うための知や技
4 簡潔に正しく伝えることを意識
5 自己開示を意識
⑴ 先に自己開示する/⑵ 豊かな表情で自己開示する/⑶ 子どもにも自己開示を促す
6 場の空気を意識
⑴ 子どもの反応を読む/⑵ 時にはスパッと変える
7 子どもが主体であることを意識
⑴ 質問やつぶやきを活かす/⑵ 発言が不十分なら問い返す
3章 ファシリテートするためのスキル
1 参加の仕方を示す
⑴ 多様な発言を認めることを宣言する/⑵ 授業の流れを示す/⑶ グランドルールを示す
2 ファシリテーターの話し方
⑴ ポジティブに話す/⑵ 距離感によって話す言葉を選ぶ/⑶ うなずく時は発言や思考を妨げないように
3 ファシリテーターの目線
⑴ 目線は上げる/⑵ 目線を止める/⑶ 柔和な視線
4 ファシリテーターの発する声
⑴ 声は変えることができる/⑵ 声は小さくてよい
5 ファシリテーターの話す分量
6 ファシリテーターの空間利用
7 時間の使い方
⑴ 時間が限られていることを意識/⑵ 静かな時間帯と熱気のある時間帯が必要
8 板書の仕方
9 準備とリハーサル
⑴ 練習しなければうまくならない/⑵ 練習には時間をかける
4章 振り返り(省察)
1 振り返りとは
⑴ 振り返りの意味/⑵ 新学習指導要領でも振り返りを重視
2 振り返り方
⑴ 振り返りは感想ではない/⑵ 振り返り方はいろいろある
3 振り返りの促し方
⑴ 学んだことや気づいたことを整理して振り返る/⑵ 学んだことだけでなく、よくわからないことも振り返る/⑶ 他者から受けた影響を振り返る/⑷
教師が子どもの姿を理解するために振り返る
4 シングル・ループの振り返りとダブル・ループの振り返り
⑴ シングル・ループの振り返り/⑵ ダブル・ループの振り返り
5 教師にも必要な振り返り
5章 ファシリテーターの仕事
1 ファシリテートの流れをつかむ
⑴ 子どもの思考過程に沿ったファシリテートの流れ/⑵ やりたい授業をイメージする
2 問いを出す
⑴ 問いがあるから考える/⑵ 問いは身近なところから/⑶ 考えるきっかけになる問い/⑷ 子どもたちからの問いを活かす
3 発散させる
⑴ 一人で発散する/⑵ ペア・グループで発散する/⑶ 全体で発散する/⑷ 子どもの意見に価値付けする
4 収束する
⑴ 整理する/⑵ まとめる
5 振り返る
⑴ なぜ振り返るのか/⑵ 学習したことを振り返る/⑶ 話し合いの在り方を振り返る
6章 事前の準備がファシリテートの鍵
1 教材研究で学習する「芯」を決める
⑴ ファシリテートには教材研究が不可欠/⑵ 予想外のことを想定内に
2 ゴール(到達点)を決める
⑴ ゴールを決める過程が重要/⑵ 子どもの現状に合わせてゴールを決める
3 授業をイメージする
7章 授業で活きるファシリテートスキル
1 学習内容を自分たちのものにする
2 一人ひとりの考えが発散するように
⑴ 「わかっている」だけが挙手ではない/⑵ 発言は身近なところから
3 学級全体で学ぶ
⑴ 伝えたいことを具体化する/⑵ 意見と意見をつなげる、価値付けする/⑶ お互いの考えのズレを活かす
4 次につながる終わり方
⑴ 次時の学習につなげる/⑵ 生活につなげる
8章 板書に活かすファシリテートスキル
1 立場を明確にする
⑴ 意見の違いを認識する/⑵ 意見の違いを尊重する
2 色マーカーをうまく使う
3 思考ツールを活用する
4 振り返りにつなげる
授業ファシリテートQ&A
著者紹介
片山 紀子 京都教育大学教職大学院教授(1〜4章、Q&A)
専門は生徒指導、学級経営、アメリカの生徒懲戒制度
主な研究テーマは体罰や生徒懲戒制度
若松 俊介 京都教育大学附属桃山小学校教諭(5〜8章、Q&A)
「国語教師竹の会」事務局、「授業力&学級づくり研究会」会員
「子どもが生きる」をテーマに研究・実践を積み重ねている