平澤 紀子 編著
A5判 128ページ 定価:本体1,400円+税
ISBN978-4-909124-22-7 C3037
「障害者の権利に関する条約」のもと、全ての教員が、特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒を理解し、基本的な支援の在り方を習得していることが求められている。
本書は、新たな教職課程基準に即して、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に関する理解」(1単位)を学ぶためのテキストとして作成した。子どもの学習上又は生活上の困難を理解し、個別の教育的ニーズに対して、他の教員及び関係諸機関と連携しながら組織的に対応していくために必要な知識及び支援方法を理解することを目指している。
第1章では今日の障害者の権利に関する条約下における特別支援教育の在り方を学び、第2章では特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の理解を学び、第3章では特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の教育課程及び支援の方法や在り方を、通常の学級、通級による指導、特別支援学級・特別支援学校それぞれについて学ぶ。さらに第4章では、近年教育現場で課題とされている、障害はないが特別な教育的ニーズのある幼児、児童及び生徒の支援について学ぶ。また、各章には事例や課題を交えて、学生の批判的思考や課題解決的な学習を喚起することを意図した。
目 次
第1章 障害者の権利に関する条約下における特別支援教育
第1節 特殊教育から特別支援教育への転換に関わる国際的な動向
第2節 特別支援教育に関わる障害福祉施策・関係法規等
1.障害者権利条約と合理的配慮・インクルーシブ教育
2.障害者基本法
3.障害者手帳
(1)身体障害者手帳
(2)療育手帳
(3)精神障害者保健福祉手帳
4.障害者総合支援法
5.障害者差別解消法/障害者雇用促進法
第3節 特別支援教育の今後の展開
1.発達障害者支援法と高等教育機関における障害学生支援
2.自治体における障害者施策の取り組み
演習課題
コラム インクルーシブ教育の今後の展開
第2章 特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の理解
第1節 特別の支援を必要とする子ども
1.障害とは
2.特別の支援を必要とする子どもとは
第2節 特別の支援を必要とする子どもの障害の特性と生じやすい困難
1.発達障害
(1)学習障害(Learning Disabilities: LD)
(2)注意欠陥多動性障害(Attention-Deficit Hyper activity Disorder: ADHD)
(3)自閉症
(4)子どもの行動の背景にある困難
2.様々な障害
演習課題
コラム 子どもの困難は良さに変わる
第3章 特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の教育課程及び支援の方法
第1節 通常の学級
1.通常の学級における特別支援教育
2.子どものもてる力を高める
3.子どもの「できていること」から考える
4.教科等における支援の工夫
5.インクルーシブな学級や授業づくり
6.関係者の連携
(1)校内支援体制
(2)校内委員会・教師の連携
(3)個別の教育支援計画・個別の指導計画
(4)保護者との協力関係の形成
演習課題
コラム 「できていること」から支援を考える
第2節 通級による指導
1.現状
2.法的位置づけ
3.該当児童生徒
4.教育課程
(1)法的規定
(2)学習指導要領および学習指導要領解説(総則編)における記述
(3)教育課程編成の実際
(4)指導について
5.指導の記録と記録の引き継ぎについて
6.通級による指導の今後
演習課題
コラム 通級による指導とICT
第3節 特別支援学級・特別支援学校
1.特別支援学級
(1)現状
(2)法的位置づけ
(3)該当児童生徒
(4)教育課程
2.特別支援学校
(1)現状
(2)法的位置づけ
(3)該当児童生徒
(4)教育課程
演習課題
コラム どの子どもも学校生活の主役に
第4章 障害はないが特別な教育的ニーズのある幼児、児童及び生徒の支援
第1節 JSL 児をとりまく現状
1.歴史と現状
2.さまざまな日本語学習支援とその留意点
3.JSL 児の法的位置づけ
第2節 JSL 児への学習支援方法
1.BICS(CF)とCALP(ALP・DLS)〜言語の質の違いとその測定法
2.L1 とL2 の関係
3.日本語の言語特徴に応じた支援
(1)音声・音韻
(2)表記
(3)語彙
(4)文法
(5)談話
4.学習支援態勢
5.言語環境により生じた「障害」
第3節 JSL 児の学校生活支援
1.教え・教えられる関係の構築
2.移動による不利益
3.貧困の連鎖
4.情報の共有化
演習課題
コラム 日本という社会を共に創る
索引
執筆者一覧/編著者紹介
執筆者一覧(所属・執筆担当、執筆順)
池谷 尚剛 (岐阜大学教育学部特別支援教育講座教授・教育学博士/第1章 障害者の権利に関する条約下における特別支援教育)
平澤 紀子 (岐阜大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻教授 博士(教育学)/第2章 特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の理解/第3章 特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の教育課程及び支援の方法 第1節 通常の学級)
村瀬 忍 (岐阜大学教育学部特別支援教育講座教授 博士(医学)/第3章 特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の教育課程及び支援の方法 第2節 通級による指導)
坂本 裕 (岐阜大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻准教授 博士(文学)/第3章 特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒の教育課程及び支援の方法 第3節 特別支援学級・特別支援学校)
山田 敏弘 (岐阜大学教育学部国語教育講座教授 博士(文学)/第4章 障害はないが特別な教育的ニーズのある幼児、児童及び生徒の支援)
※所属は2018年12月現在