教育の社会・制度と経営

篠原 清昭 編著
B5判 240ページ 定価:本体2,200円+税
ISBN978-4-909124-15-9 C3037

教育職員免許法改正による教職課程の改善と新課程に対応した教職テキストとして刊行。「教育に関する社会的、制度的又は経営的事項(学校と地域との連携及び学校安全への対応を含む。)」にあたる科目について、コアカリキュラムとして導入が求められている一般目標及び到達目標に対応した内容構成となっている。
現在の教育の社会・制度と経営の全体像をカバーするとともに、内容を総論(理論、第1章〜第5章)と各論(課題事例、第6章〜第15章)に分け、各論に現在の教育の社会・制度と経営のトピカルでカレントな事象を取り上げてケースメソッドとして設定。社会・制度・経営の方向性を自ら考察するなど学生の批判的思考や課題解決的な学習を呼び起こすことを企図し、講義のアクティブ・ラーニング的な進め方に有効性をもつ。

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目 次

まえがき

第1部 総論 教育の社会・制度と経営の理論
第1章 現代の教育社会の変化
第1節 戦後日本の教育の変化
1.戦後の教育の三段階
2.公教育のパラダイム転換
3.教育の関係構造の変化
第2節 現代では教育にどのような可能性を見出せるか
1.戦後日本型循環モデルとその変容
2.プラットフォームとしての学校
3.セーフティネットとしての教育
第3節 現代では学校をどのように位置づけられるか
1.現代に学校は不要か?
2.現代とはどういう時代か
3.「学校が管理される時代」から「学校を経営する時代」へ
4.保護者、地域住民との関係をどう築くか/12
おわりに

第2章 現代の教育制度改革
第1節 公教育の理念と原理―義務性・無償性・中立性
第2節 教育の機会均等の原則と義務教育制度の構造
1.教育の機会均等の原則
2.義務教育制度の構造と特質
第3節 教育の公共性と学校設置主体
第4節 第二次安倍政権の教育政策過程
第5節 教育課程の制度改革―学習指導要領の改訂
おわりに

第3章 現代の学校改革
第1節 政治主導・官邸主導による規制改革と学校教育批判
第2節 地方分権の推進と特区を利用した教育分野の規制緩和
第3節 学校設置・学校経営主体の要件緩和による学校の「民営化」
1.株式会社による学校設置
2.特定非営利活動法人(NPO法人)による学校設置
3.公私協力学校設置事業による公設民営方式の解禁
4.公立学校の管理・運営の包括的な委託
第4節 小中一貫教育の導入による学校体系の複線化・多様
第5節 「新しいタイプの学校」における地域住民・保護者の参画

第4章 国と自治体の教育のガバナンス
第1節 近年の教育をめぐるガバナンスの変容
第2節 国における教育のガバナンス
1.国の教育行政の組織
2.国の教育政策過程
第3節 自治体における教育のガバナンス
1.教育委員会制度の理念と経緯
2.近年の教育委員会制度改革とその評価
第4節 教育のガバナンスにおける国と自治体の関係
1.国と自治体の役割分担
2.教育分野の地方分権改革
3.国と自治体の関係をめぐる課題
第5節 教育のガバナンスを支える財政
1.教育支出の国際比較
2.国と自治体の教育支出のあらまし
3.家庭の教育費負担
第6節 教育のガバナンスをめぐる課題

第5章 学校におけるマネジメント
第1節 公教育の目的の実現への学校教育の位置
第2節 学校におけるマネジメントの基盤
第3節 「学校経営」と「学校のマネジメント」
第4節 学校のマネジメントの過程
1.学校のマネジメントの過程・サイクル
2.学校評価の強化と新たな学校のマネジメントサイクルの確立
第5節 学校のマネジメントの組織①:校内の学校経営組織
1.教職員の種類と職務
2.学校経営組織のしくみ
第6節 学校のマネジメントの組織②:校内・外の連携協働の体制・制度
1.校内・外の連携協働の制度化の経緯
2.新たな学校・地域の連携協働体制の構築
第7節 まとめ

第2部 各論 教育の社会・制度と経営の課題事例
第6章 教育政策は民主的か
第1節 中央の教育政策において国民主権は保障されているか
1.中央における教育政策の実態
2.中央における教育政策と民主性の問題・課題
第2節 地方の教育政策において市民主権は保障されているか
1.地方における教育政策の実態
2.地方における教育政策と民主性の問題・課題
第3節 学校の運営において保護者(市民)主権は保障されているか
1.学校運営における実態 ―学校運営協議会制度の実態―
2.学校運営における民主性の問題・課題 ―学校運営協議会の問題・課題―
おわりに

第7章 教育の市場化をどう捉えるか
第1節 市場化とは何か
1.公共部門の市場化
2.日本の教育改革の特徴
3.子どもの貧困
第2節 自己決定と自己責任
1.近代社会の基本原理としての自己決定・自己責任
2.自己決定・自己責任の何が問題なのか
第3節 教育の全球化(グローバル化)
第4節 まとめに代えて:改めて「人権としての教育」を

第8章 「チーム学校」は実現できるか
第1節 専門性に基づくチーム構築の課題
1.「チーム学校」構築のねらい ―「専門性」を活かす組織として―
2.「チーム学校」構築の考え方
第2節 「チーム学校」における協働とマネジメント
1.「チーム学校」で子どもを支える協働の在り方
2.「チーム学校」とマネジメント
第3節 教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備
1.教員の勤務実態
2.業務改善の推進
3.「チーム学校」実現のための具体方策と教員の負担軽減
おわりに~「チーム学校」の構築と新学習指導要領の実施に向けて

第9章 教育改革で学力は向上するか
第1節 今求められる学力の質とその評価のあり方
1.学力を問うとはどういうことか、今めざすべき学力とは
2.高次の学力の育ちを捉えるパフォーマンス評価
第2節 汎用性や発展性をもった学力を育てる授業とは
1.本質的な内容を軸に授業のメインターゲットを絞り込む
2.「目標と評価の一体化」と「ドラマとしての授業」の構想とをつなぐ
3.「見方・考え方」をどう捉えるか
4.学びの深さと思考の密度
第3節 学力を育てる授業づくりに教師集団が組織的に取り組む
1.カリキュラム・マネジメントの先に何をめざすのか
2.ヴィジョンの対話的共有と教師たちが対話し協働する場の組織化

第10章 体罰はなくせるか
第1節 生徒懲戒と体罰
第2節 体罰の実態
第3節 懲戒権の限界
1.戦後すぐに示された懲戒権の限界
2.再度示された懲戒権の限界
3.体罰事例1 体罰による死亡事故
4.体罰事例2 胸元をつかまれたことによって生じたPTSD
第4節 体罰の再否定
1.体罰事例3 部活動での体罰による自死
2.体罰の禁止と指導の徹底について
第5節 体罰を加えてしまった教師の事後対応
第6節 体罰を加えた教師の責任
第7節 体罰を行ったことによる賠償責任
第8節 体罰はなくせるのか

第11章 いじめはなくせるか
第1節 いじめと人類史、いじめと市民社会――いじめ概念のコアを求めて
第2節 いじめの定義
第3節 いじめ研究の射程
第4節 モデル現象の活用
第5節 内的モードの変換が連鎖する心理−社会作動系と、ノリが規範の準拠点になること
第6節 ノリの秩序
第7節 諸秩序の生態学モデル
第8節 教育制度の改革
第9節 いじめ研究と進化論の結合

第12章 不登校はなくせるか
第1節 不登校の定義と現状
1.不登校とは
2.現状と要因
3.不登校後の進路
第2節 不登校への対応
1.行政による制度的対応
2.学校の経営的対応
第3節 不登校の子どもの教育の機会をどう保障するか
1.学校外の学びの場への注目
2.教育機会確保法の成立事情
3.再考-不登校はなくせるのか

第13章 学校・地域のレジリエンスをどう高めるか
第1節 学校安全推進の新展開
1.子どもたちの命を守るために学校が取り組むべきこと
2.一人ひとりが適切な判断と行動ができるために
第2節 地域で学ばれていることと、そのことを支える原理
1.東日本大震災後の防災リーダー養成の1コマ
2.学習内容を決めるのは誰か
3.社会教育施設における学習・表現の自由のいま
第3節 震災後の地域再生をめぐる主要論点
1.「創造的復興」を問う
2.歴史と事実に学び、危機を予見する力を
第4節 災後社会における地域学習の諸相
1.原発の二次被害をくいとめる放射性廃棄物処分場反対運動
2.被災地域に作られた二種類の発電所
おわりに

第14章 地域とともにある学校は実現できるか
第1節 不易としての「地域とともにある学校」
第2節 「開かれた学校」から「地域とともにある学校」へ
1.開かれた学校づくりの理念と制度
2.「開かれた学校」づくり論の視点の変化
3.地域とともにある学校
第3節 学校を核とした地域の活性化
1.地域活性化とは何か
2.地域において人々をつなぐ地域学校協働活動
第4節 「社会に開かれた教育課程」を具現化する連携・協働システム
1.社会に開かれた教育課程とは
2.社会に開かれた教育課程編成のポイント

第15章 市民の生涯学習は保障できるか
第1節 市民の「生涯学習」のプロフィール
第2節 「生涯学習」とは何か
1.生涯学習に関する法律の規定
2.教育振興基本計画における生涯学習の位置
3.市民の生涯学習活動を支援するネットワーク型社会教育行政と専門職員の育成
第3節 社会教育施設を拠点にした生涯学習の推進
1.社会教育施設とは何か
2.公民館の配置・運営をめぐる理論化の動き
3.公民館における市民の生涯学習実践
4.総合的な「地域づくり」のセンターとしての公民館
第4節 市民の生涯学習の成果を活かす―社会全体で子どもたちの学びを支援する取組―
1.市民との協働による学校・家庭・地域の連携
2.「地域学校協働活動」の推進

執筆者一覧
編著者紹介


執筆者一覧(所属・執筆担当、執筆順)
末松 裕基 (東京学芸大学教育学部准教授・第1章 現代の教育社会の変化)
荒井 英治郎(信州大学教職支援センター准教授・第2章 現代の教育制度改革)
芥川 祐征 (岐阜大学教育学部助教・第3章 現代の学校改革)
村上 祐介 (東京大学大学院教育学研究科准教授・第4章 国と自治体の教育ガバナンス)
大野 裕己 (滋賀大学教職大学院教授・第5章 学校におけるマネジメント)
篠原 清昭 (中部学院大学教授・岐阜大学特任教授・第6章 教育政策は民主的か)
岡田 昭人 (東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授・第7章 教育の市場化をどう捉えるか)
加藤 崇英 (茨城大学大学院教育学研究科准教授・第8章 「チーム学校」は実現できるか)
石井 英真 (京都大学大学院教育学研究科准教授・第9章 教育改革で学力は向上するか)
片山 紀子 (京都教育大学教職大学院教授・第10章 体罰はなくせるか)
内藤 朝雄 (明治大学文学部准教授・第11章 いじめはなくせるか)
片山 信吾 (名城大学教職センター教授・第12章 不登校はなくせるか)
石井山 竜平(東北大学大学院教育学研究科准教授・第13章 学校・地域のレジリエンスをどう高めるか)
露口 健司 (愛媛大学教職大学院教授・第14章 地域とともにある学校は実現できるか)
益川 浩一 (岐阜大学地域協学センター長・教授・第15章 市民の生涯学習は保障できるか)
※所属は2018年4月1日現在